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ガラスコーティング材について

 役 立 つ ガ ラ ス     

なぜガラスは役に立つのでしょうか?

 ガラスは光を透し、つやがあり、硬さがあります。
 この性質が美しさを保ち、あらゆるものに利用され、明るい日常生活を送ることができます。ガラスは現在の生活に密着したもので、これがなければ明るく、豊かで便利な生活を過ごせません。
 例えば、窓ガラス、食器、照明、装飾品、パソコン、通信などに利用されていますが、形を変えて多方面へ利用応用されています。

ガラス技術の発展

 ガラスは約5,000年前のメソポタミアで発見され、製造されるようになり、ガラス技術は世界各地へ伝わり発展しました。
 貴重な工芸品から工業用品に応用され、アクティブな特性を有するフォトクロミックガラス、光ファイバーガラス、レ
ーザーガラスなどニューガラスといわれる先端ガラスが誕生しています。

思いもよらない働きをするガラス

 ガラスは透明で、光沢があり美しく、さびず硬さがあって割れやすいなどの性質があります。
 しかし、ガラスの原子配列は結晶のようにならないので、組成を変えてもガラスのままですから、組成を変えて々な性質のガラスを作ることができます。

常識では考えられないガラス

ガラスを作るには、原料を1400℃以上の高温を必要とし、高温のまま加工しなければなりません。
 1970年のドイツで、低温でガラスを作る方法が提案され、脚光を浴びましたが、それでも数百℃の温度を必要とします。
 10年ほど前、ガラスを液体化させ、その液体を常温のままで、固体化してガラスの本来の性質にするという画期的な液体ガラスが開発されました。これは常識では考えられないことです。

あらゆる分野に期待されるガラスが液体のコーティング材

 有機性の化学製品は各方面に活用され、多大な貢献をしましたが、環境や人体への悪影響ははかり知ることはできません。しかし、無機質のガラスはその心配はいりません。
 液体化されたガラスは、常温ガラスコーティング材として公共事業から一般家庭への幅広いマーケットから期待、注目されています。

 ガ ラ ス と は     

 主成分である二酸化ケイ素SiO2などの物質を熱を加えて溶かした状態から冷やしたとき、結晶とならず非晶質の固体となり、原子の配列が不規則な状態になっている物質をガラスと呼んでいます。これは水を0℃以下のマイナスに冷やしたときに氷となる状態に似ています。多くの固体は結晶質であるのに対して、ガラスは非晶質であることに大きな特徴があります。

 一般的にガラスは透き通っていて光沢があり美しく、サビず硬さがあって割れやすいなどの性質があります。それに原子配列が結晶のようにならないので組成を変えてもガラスの性質のままですから、組成を変えて様々な性質のガラス、機能性ガラスを造ることができます。

 天然のガラスとしては黒曜石などがありますが、私たちが用いているガラスは天然にほとんど存在しませんから原料となる物質を加工してガラスを造っていることになります。

 近年、ガラスを液体化させ、その液体を常温の状態で固化させてコーティング材として利用する画期的な方法が開発されました。
 これをイメージしやすくするために「液体ガラス」と呼ぶようになり商標登録ではなく造語的な呼称で、別個の水ガラスと区別しています。他に「常温ガラスコーティング材」、単に「ガラスコーティング材」とか、塗料のような使い方を行うので「ガラス塗料」と呼ぶことがあります。当サイトでは適正な表現ではないかもしれないが、ガラス転移となるから「ガラスコーティング材」と呼ぶことにします。

原料:シリカSiO2、薬品など

原料を溶解してガラス質溶液を作り、触媒等を加えて加工する。

​機能性添加剤、顔料などを加え改良する。

​硬化後、固化したもの

​分析表

 液体ガラス、ガラスコーティング材とは    

 ガラスコーティングの特長       

・ガラス質のSiO2であるため耐候性や防汚性等に優れていて、素材の保護に役立ちます。
・以前は使用箇所や使用目的も限られていましたが、材料の改良によりコンクリートや金属、木材などの素材へ幅広く用いられています。
・無機質であるから安全性も高く、環境に及ぼす影響も少ないといえます。
・ガラスコーティング材には耐候性や防汚性等に優れているだけでなく、素材に応じて耐摩耗性、耐水性、耐薬品性、難燃性、撥水性、抗菌性などの機能を付与することができます。
・ガラス質のコーティング材は素材・基材の寿命を延ばすことを目的としていますから、使用する期間が長くなるほど経済的に得をします。
 また、コーティングするのに特別な設備や大きなエネルギーを必要としませんから経済的コストは良いことになります。

 ガラスコーティングの欠点      

・無機質の特性のためか塗りにくい面があり、異物などが混入すると仕上がりが悪くなることがあり使いにくさがあります。今は改良しつつあり扱いやすくなってきています。
・ガラスコーティング材はシリカ質のSiO2で硬い被膜であるため、ゆがみや伸縮に追従しにくく割れやすい面があります。以前は木材には使用できませんでしたが、木材に使用できるものが開発されています。
・ハイブリッド化することによりやわらかい素材にも塗布できるようになっていますが、それでも軟質樹脂、ゴムなどには使用できません。
・無機質で安全性も高く、性能もよいのですが、少し価格が高いといえます。

 ガラスコーティングを良好な仕上がりとするために      

 塗料は一般的に鎖状の分子構造はやわらかさを、網目状の分子構造は硬さの性質を持っています。ガラスコーティング材は緻密な網目状の原子分子配列ですから硬い塗料です。塗装面を良好な仕上がりとするために、下記に少し述べてみます。

1.付着性がよいか?
 塗料は付着性のよさと美装性のよさを兼ね備えています。美装性を重視し付着性をおろそかにするとハガレなどの塗装事故を引き起こす危険性があります。付着性の要因としては分子間引力の吸着説、静電気力の電気説、分子拡散力による拡散説、表面を荒くする投錨効果などがありますがこれらの説明よりも、素材と塗膜の付着性が重要です。

 塗料は接着剤のような付着性がありますが、塗料に顔料を混入したり色々な機能を持たせると接着力を増大させるわけにはいきません。素材と塗料の相性がよければ付着がよいはずですが、素材の状態がよくなければ付着力が落ちる場合もあります。

 ハガレなどをおこさないように塗装面をきれいにすることが重要となります。表面処理は付着向上に影響を与え、表面をサンドペーパーなどで目荒らしを行い付着する面積を増やすことも行われます。

 付着性を向上させる方法として、プライマーやシーラーなどを下塗りにして用いられたりもします。プライマーレス(ノンプライマー)とかシーラーレスといった下塗りの必要のない付着性のよい塗料もありますが、必ずしも万能ではないので、本塗装する前に付着性のテストを行うとよいと思います。

なお、硬質プラスチックでは#400で軽く研磨し溶剤で脱脂したり、薬品で処理する方法、光を照射し表面を活性にする方法等が用いられます。
 鋼材は、さび取り研磨してすぐにさび止め材を塗るか、化成処理してさびにくい表面にして塗装します。
 非鉄金属のアルミやステンレス等は、くっつきにくいので表面を化学的に粗らす化成処理かエッチングプライマーを塗布したりします。

2.塗装面は平滑か?
 塗装は、素材の面を平滑に塗り、光沢や指定された色となっているか、特別な機能を付与されているかなどが要求されます。
 平滑において素地下地の粗さが細かければ抑えることができますが、ガラスコーティング材の硬質タイプはあまり素地面の粗さを抑えることができません。そのため塗装面を平滑にすることも重要となります。

 木工の場合は素地調整が特に重要で木地の状態で仕上がりに影響を及ぼしますから、お湯拭き乾燥後に毛羽をとぎ取るなどの適切な研磨法を選択します。

3.塗膜を均一する
 一定の膜厚にするためにはコーティング材中の成分が一定であり変質がなく、成分の溶解性も一定で安定した作業性も得られなければなりません。

 ガラスコーティング材のガラスコート・シリーズは約10mPa・s(ミリパスカル秒)前後の低粘度ですので、原則希釈なしで用います。刷毛で塗ったとき刷毛目が目立つときは、布やスポンジに代えるとよい場合があります。あるいは少し希釈すると改善する場合もあります。スプレーで塗るときも少し希釈して塗物との間隔をあまりあけないで塗布するとよい場合があります。

 どちらのガラスコーティング材も刷毛やローラーなどで塗るときに、往復して塗り込んでいるとモツつき感が出るときがありますから、可使時間は短いゆえ使いにくさはあります。塗装テクニックを駆使して一定のリズムで塗り進んでいくとよいでしょう。

4.湿気やほこりに注意!
 ガラスコーティング材のほとんどは空気中の水分と反応して硬化します。乾燥養生中に空気中の湿気が多いと水分過多となり白化現象を起こすことがありますから、湿気の多いときは注意を要します。また養生中、温度差が大きく冷えたときに塗装表面へ大気中の水蒸気が付着し白化することもあります。
 このときは室内であれば暖めたり除湿を行い、屋外であれば覆いをかけるなどして乾燥速度を抑え寒暖の差を少なくします。

 ほこりも大敵で、屋外で風の強い日は舞ったほこりが塗布面に付着することがありますので注意してください。砂埃が付着すると一瞬で塗装は台無しになります。

 夏季の屋外で虫が飛びまわっているときは、まだ乾燥していない塗装面に虫が付着し取れなくなる恐れもあります。虫の付着を防止するため周りに殺虫剤を散布し虫をいなくすることも必要と思います。

 素地や下地の乾燥状態にも気を配ります。水分を吸収しやすく充分乾燥していない素地にガラスコーティング材を塗布すると白化現象は起こりやすくなり、はがれや膨れの原因ともなります。下塗りに水性の塗料を塗布した後、この水性塗料が充分乾燥しないうちにガラスコーティング材を塗布したら白化してしまった事故がありました。塗布前に状況を確認することを怠ってはいけません。

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